いつの時代も人気の就業先である病院に薬剤師として就職したけど、想像していたものとは違ったなんて人は多いと思われます。他人の芝は青く見えるが故に調剤薬局に就職しておけば良かったと後悔する方もいますよね。
もしくは、病院で少し投薬経験を積み、知識を身に着けてから調剤薬局へ転職するという薬剤師としての王道キャリアを最初から考えて活動している人も多くいる事と思われます。
どちらにしても、病院から調剤薬局への転職を考える前に、まずはその実態を知っておくことをおすすめします。その後の転職の流れがスムーズなものになることは間違いありません!
現役薬剤師が熱く語る、病院から調剤薬局への転職の裏事情をご紹介します!
目次
「患者様と話がしたい!」
これはほとんどの病院勤務の薬剤師がこぼす愚痴です。
やはり病床数が多い急性期の病院の院内薬剤部だとひたすら投薬と監査のエンドレスとなり、実際に患者様と触れ合えるかといえばそうではありません。
先輩薬剤師と一緒に病床について行ってちょっとだけ服薬指導に携われる程度でしょうか。薬剤師となった以上、調剤薬局のように処方箋を元に患者様と直接触れ合い、医療従事者として地域に貢献することを肌で感じたいのです。
急性期の病院だと重篤患者様が大勢いるのでお薬の科目も非常に多岐に渡ります。その中でもオンコロ系の薬の知識は在宅業務でとても重宝されるのです。
病院で麻薬の知識を持つ専門薬剤師が活躍していますが、どうしても法律上の規制が多くあるが故に専門の資格や知識をフルに活かせる調剤薬局へ転職する方も多くいらっしゃるようです。
さらには、調剤薬局の在宅業務を厚労省が地域包括ケアの一環として取り組みを推奨しているので、調剤での受け入れ態勢はばっちり出来ているのです。調剤薬局では専門薬剤師が居るだけで厚労省のガイドラインをクリアでき点数が取れるのでウェルカムなのです。
病院で、ただただ知識を身に着けて投薬することだけを望む薬剤師より、調剤薬局で直接癌の患者様に触れあい、在宅で独居の方や末期の方へのサポートを望む薬剤師の鏡みたいな人材が多いのも事実なのです。
はっきり申し上げますと病院勤務は薬剤師と言えども夜勤もあるし残業もあるし、かといってお給料もさほど良いとは言い難い非常に厳しい職場なのです。
病院ではドクターがすぐ側にいるので気を遣わなければいけないし、調剤薬局では疑義の時だけドクターへ電話で対応する程度なので羨ましい限りですよね。
新卒薬学生から見れば実習である程度、過酷な環境を理解しているはずですが、どうしてもネームバリューが先に立ち「大学病院」「救命センター」の名前だけの見得が優先してしまうのでしょうね。
でも、実際に入社してから薬学生時代の友達が調剤薬局勤務でプライベートをエンジョイしているのを目の当たりにするとむなしくなってきますよね。
残業も少ないみたいだし、年配の患者様とまったり服薬指導しているし、なんだか病院勤務ってミスった?と思わざるを得ないのではないでしょうか。
病院に勤務しながらの調剤薬局への転職方法を少しお話しておきますね。
病院勤務では、なんせランチを食べる暇もないほど投薬の嵐なのに、転職活動の時間なんてどこにあるのでしょうか。
このことから、病院での勤務時間内での転職は難しいと判断してあきらめていませんか?
応募したい調剤薬局に電話も掛けられないし、メールを打つ暇すらないのにどうやって転職すればいいんだ!という声が聞こえてきそうですね。
ここは薬剤師専門の紹介会社を利用してみる事をおすすめします。担当のコンサルタントにあなたの連絡が取れる時間帯を伝えておくと、その時間帯にはきっちりと仕事をしてくれています。
応募先の調剤薬局にもあなたの代わりにアプローチを行ってくれるのでとても助かるし転職は決まるし一石二鳥なのです!
希望する調剤薬局の店休日を教えてもらい面接日を合わせておくのもコンサルタントが段取りをおこなってくれるのであなたはスケジュールを伝えるだけなのです。
どこの調剤薬局も人手不足なので、すぐに来てもらいたい状況なのは周知の通りです。
離職のタイミングも院内の引継ぎを検討出来る時期を見計らっておきましょう。しかし、いざ調剤薬局に入局が決まったのに病院側が難色を示すことも多々あることなのです。増患の時期を日ごろから気にかけておくことをおすすめします。
さらには同時期に病院の同僚薬剤師が離職するとなればタイミングを逃してしまいますのでいち早く行動することをおすすめします。
ぐずぐずして「転職します」的な雰囲気を匂わせておくと病院の関係者も見抜いてしまい、引き留められる可能性が大きいので用意周到に行いましょう。
病院にはなく調剤薬局でしか経験できない事の一つが「在宅医療」に携われることでしょうか。
特に栄養面での指導を希望する薬剤師も増え、NSTを取得するなど管理栄養士と同行できるのも魅力の一つだと言われています。
施設訪問を経験することで地域の福祉事情も現場で学ぶことが出来るのです。
さらには、地域密着性を掲げている調剤薬局ならではの勤務スタイルのひとつとして挙げられるのが局内勉強会へ参加でしょうか。
地域の方々からの直接的な声を元に糖尿病患者様の透析への支援会やがん患者様への食品アプローチ会など地域一丸となり取り組めることも魅力の一つではないでしょうか。
病院に勤務していると調剤薬局が魅力的に見えてきますが、実は調剤薬局にもマイナス要素がてんこ盛りなのです!この薬事業界では経営者不在と言われているのをご存じでしょうか。
ほとんどの調剤薬局では薬剤師が経営者となるため、経営マネジメントや人材教育を全く学んでいないズブの素人が運営しているということなのです。
ワンマン経営者でとんでもない常識外れの薬剤師社長が多いのが現実だと言えるでしょう。
就業規則なんてあってないようなものなので、病院勤務できっちりとした組織体制で働く感覚で調剤薬局に行くと痛い目にあうことを覚悟しておきましょう。
調剤薬局は社長経営者が気に入らなければクビになってしまうような、一般的な常識が通用しない世界なのです。
離職も多いので人間関係も構築する前に調剤室のメンバーが変わってしまうし、パート薬剤師が異常に多いし、入局してみないと分からないことはたくさんあります。
病院勤務からの調剤薬局への転職をまるっと書き出してみましたがいかがでしたでしょうか。
結局はどこで働くというよりは自分に合った働き方を明確にしておくことが必要だと思われます。
大きな急性期病院で組織の一部として働くのか、小さな組織でいろんなことを経験して成長する働き方がいいのか、其々の良い点を照らし合わせて自分に合った働き方をみつけてみましょう。
薬剤師専門の転職エージェントでは薬剤師の有資格者のコンサルタントも在籍しています。労働条件など客観的な視点で相談にのってもらえるので、話を聞いてみると良いでしょう!