誰もが避けて通りたいであろう、「一人薬剤師」。
調剤薬局の入局前に一人じゃないことを念をおして確認をしていたにもかかわらず、まさか自分が一人薬剤師になってしまう...... こういったケースが意外と多いのが現実です。
狭い調剤室で一人きりで投薬をする薬剤師、いわゆる「一人薬剤師」は望んでなっている人は少ないのです。
ここでは、うっかり「一人薬剤師」になってしまった際の現状とはどのようなものなのか検証してみたいと思います。さらには一人薬剤師を避けるための対処法や、調剤ぼっちのメリットとデメリットも併せて見ていきましょう!
目次
調剤薬局に応募する際には求人票に在籍している薬剤師数を必ず確認しておきましょう。
複数の店舗を経営していると、薬局数と薬剤師数がぴったりと合っている、もしくは少しだけ薬剤師が多めだと間違いなく一人薬剤師になる可能性が高いと思っておきましょう!
さらには、ぎりぎりの薬剤師で薬局を経営しているので、医療事務の数で誤魔化している可能性もあるので要注意が必要です。「うちは事務がベテランだから」なんて言っている経営者の言葉の裏を返せば「一人薬剤師です」と言っているようなものです!
面接時に「今は一人薬剤師だけど、来月もう一人採用するから」という言葉は信用しない方がいいでしょう。
この薬剤師不足の世の中に簡単に採用が決まるほど甘い業界ではないことは周知のとおりです。いつまでたっても採用が決まらないのでぼっち確定は免れないでしょう。
もし面接時に後から採用するからと言われた際には、一人薬剤師になる覚悟はしておいた方が良いでしょう。
入局当初は同僚が確かに居たのです!そんな雄叫びも聞こえてきそうですが…
同僚の退職がすでに決定しているにもかかわらず面接時にはそれを隠している確信犯的な調剤薬局も存在します。もしくは求人票の薬剤師在籍数も申し分なく、いざ入局してみると離職直前だった。なんてことも多々あります。
またあなたが一人薬剤師になって負の連鎖をエンドレスに続けていく、新たな獲物が見つかったということなんです!
一人薬剤師となると投薬はもちろんのこと全ての調剤業務を一人で行わなければなりません。
その中でも、ほぼ全ての一人薬剤師が口をそろえて言うのが「監査」に対する不安なんです。
薬剤師だって人間なので間違いは起してしまうのです。でもあってはならないことが前提であるのが「調剤ミス」であり、患者様の生死にかかわる問題に発展しかねないことが背景にあったりもします。
一人監査で本当に大丈夫かな……計数調剤の凡ミスですらヒヤヒヤものです!
一人薬剤師にしておく調剤薬局に限って電子薬歴じゃなかったりするので、未だに手書きで処理している上にミスが重なるとさらに不安も大きいのです。
調剤室の中では、予製薬の準備やら公益の処方箋やらで一人でできる仕事量ではないことが想像できます。
一体どうやってこなしていけばいいのでしょうか?残業をしても追いつかない量の仕事をたった一人の薬剤師に押し付けてメンタルを崩壊させてしまった経営者も存在するのです!
さらには、当然、一人きりの薬剤師業務なので休みが取れないことは容易に想像できます。それだけではなくせっかく取れた休みも雑務に追われて勉強会にすら出席できない状況が続きます。
薬剤師という特殊なお仕事だからこそ理解し合える運命共同体のような感覚になったりします。
一人薬剤師の場合は、嫌な患者様からクレームがあったり、後発品の情報をシェアしたりなんて夢のまた夢なんです。だってたった一人なんだから…薬の話をすることが出来ないのです。
この孤独感と戦うことも一人薬剤師として避けては通れない棘の道なのです!
一人薬剤師ではあるけれど事務の社員数が無駄に多い調剤薬局も存在します。
同じ社員とは言えども事務と薬剤師では格が違い過ぎるのでどうしてもコミュニケーションは取り辛くなるのでしょうか。
特に、一人薬剤師だと薬剤師仲間が居ないので複数人の事務が優勢になりやすいのです。狭い調剤室の中で薬剤師を仲間外れにしてくると逃げ場がないのです。
少しのボタンの掛け違いであっという間にボッチ感が増してきます。事務とうまくいかなくなると薬剤師のフォローにも入らずピッキングすら見向きもしなくなるのです。
忙しさから見ると調剤薬局でもそれほど処方せん枚数も多くなく、在宅もしていなければ比較的楽だと言えるでしょう。
監査も気を付けて十分に配慮できる時間があれば大丈夫だと思われます。
さらには、一人だと転職活動もオープンに出来るので、薬品メーカーから堂々と転職情報を入手できるのも一人薬剤師ならではですね!
自由度が高いので自分の好きなように薬品を並べ替える事が出来るし、監査システムも好きなように配置を変える事ができます。
中には「一人薬剤師」だからと待遇を上げてくれる調剤薬局もあり、それなら続けるという人もいるでしょう。ただ、全体的にみても一人薬剤師だから待遇を見直してくれる経営者は少ないと思った方がいいでしょう。
デメリットの多くは時間に関することでしょうか。
一人なので当然のことながら残業も一人きりでやらなくてはなりません。
日々の投薬に疲れが増し勉強会に行く気力も残っていないのです。勉強会に出席できないとなれば当然薬剤師としてのスキルアップは望めないと言えるでしょう。頑張って認定薬剤師を取っても誰も喜ばないのが現状です。
調剤薬局の醍醐味である患者様とのコミュニケーションも一人だと当然取れることもなく機械的な接客となるため、やりがいを感じることも少ないと言えるでしょう。
処方せん枚数が少ないのに募集をかけること自体が怪しいと思っておきましょう。20~30枚だと一人で投薬させる可能性が高いと言えるでしょう。
さらには、店舗見学に行った際に求人に掲載している薬剤師の数と現場で働いている薬剤師の数を必ず合わせておきましょう。公休の薬剤師も居るので確認は必要です。
社長薬剤師が一人で投薬しているなんて調剤薬局は危険中の危険です。あなたが採用となれば社長薬剤師は間違いなく調剤室には入ってきません!
『新店舗をオープンします!リニューアルオープンに先駆けて薬剤師募集!』
このように、あたかも新しく店舗展開するので薬剤師が必要と謳っている個人経営の調剤薬局こそ怪しいと思っておきましょう!
そもそも在職の薬剤師が足りないのに新しく調剤薬局をオープンできる資本があるとは到底思えないのです。
よほどの財力があるチェーン店やドラッグストアであればあり得るのですが、個人経営の調剤薬局では有り得ないので、おそらく現状の店舗で一人薬剤師になる確立が高いと言えるでしょう。
一人薬剤師となると、当然、管理薬剤師を担うことになります。
しかしながら、新卒者に管理をさせてしまう調剤薬局も存在するのです!明らかに保健所から目を付けられていると思われますが、なんせ薬剤師不足なのでそうは言っていられないのが現状なのです。
新卒求人では一人になることはなく店舗に数名薬剤師が在籍していることをほどなくアピールしています。さらにはちゃんと研修もありますと言われたら新卒者もそこは疑う余地もなく、晴れて入局してしまえばもう罠にはまってしまったと同然なのです。
管理薬剤師の名札とマニュアルを渡されて一日で覚えろと無茶ぶりをされる調剤薬局も存在するのです!
個人経営の調剤薬局では、多くても5店舗くらいが経営するのに丁度良い店舗管理が出来ると言われています。
しかしながら薬剤師の数を多く在籍させると人件費が多くかかってしまう為、どうしても利益を考えると一店舗に一人薬剤師の割合になってしまうのです。
処方せん枚数が増えれば良いのですが定着するまでに数年かかるし、門前でも必ず処方せんがもらえるわけではないので売り上げも見込めるには時間がかかります。
求人に掲載している店舗数と門前の病院の科目数を確認しておきましょう。
転職エージェントのコアドバイザーには、求人を提案してもらった際に、必ず一人薬剤師になるか否かの確認をしておきましょう。
とは言えども、転職コンサルタントだって入局してしまってから一人薬剤師になるかどうかは分かりません。
ここは転職会社側の実績や過去のデータから危ない求人であるかどうかの入念な確認と、誓約書に一人薬剤師にならないことを盛り込んでもらうことも良いでしょう。
転職会社もすぐに辞められると違約金を払わなければならないので、求職者の条件は絶対的なものとして捉えてもらえるのではないでしょうか。
一人薬剤師があまりにも辛い時は悩まないで周りの人に相談してみましょう。
経営者に言っても、のらりくらりとかわされるだけだし、あなたの温情にしがみつき泣きが入る可能性もあります。そうなるとますます辞めることが出来なくなり、心も体も壊してしまうのです。
自分が辞めると店が困るのではないかと思う気持ちはここで捨てておきましょう。あなたのキャリアはあなた自身のものなのです。
薬剤師の売り手市場はしばらく続くと思われるので次の転職先は希望通りの場所が見つかります。