今やコンビニよりも多いと言われる調剤薬局、その数は日本全国で約6万店舗とも言われています。あまりに規模が大きくなる市場に対して、政府も年々その増加対策に四苦八苦していると言われています。
転職市場でも調剤薬局は人気なのですが、選び方によっては『転職が失敗に終わってしまう』ケースも珍しくありません。では、何を基準にして調剤薬局を選べばよいのでしょうか?
さらには薬剤師のキャリアプランに見合う軸は調剤薬局で活かしていく事が出来るのでしょうか。調剤薬局の裏事情に詳しい転職アドバイザーが主観と偏見でその裏側までまるっと解説していきたいと思います。
目次
調剤薬局といっても規模も抱える薬剤師の数も様々で、中にはイメージしていた調剤薬局と違った…など転職後に気が付く人も少なくありません。特に調剤薬局以外から転職する人は注意が必要です。
規模によっても働き方やキャリアアップの仕方など全く違いますから、要点をしっかり押さえておきましょう!
超有名で全国展開している大手調剤薬局は、各都道府県の大学病院や主要都市病院の門前に構えています。患者数が多く、処方箋枚数もはんぱな数ではない事は想像がつくでしょうか。
処方科目も多い中で麻薬管理業務も通常業務に加わり、一日中働きっぱなしであることは間違いないと言えます。
とある薬剤師はとりつかれたように投薬して、カウンターで服薬指導する薬剤師にパスといった流れ作業的な業務に嫌気がさしていると言っていました。
大手調剤薬局で働くメリット
さすが大手だけあり手厚い福利厚生は期待して問題ありません。個人でやっているところ薬局よりかは確実に良いですし、転職前でもネットで調べればある程度は出てきます。
そして薬剤師としての最大のメリットと言えば、最新の新薬情報やドクターからの臨床情報など入手できることでしょうか。ただし学習意欲がなければただの拷問に過ぎないので注意が必要です!
大手調剤薬局の名前だけで、薬剤師会主催の勉強会への出席が顔パスで出席できることもメリットの一つと言えますね。さらに、関連会社に紹介会社も運営しているのでキャリアの相談もしやすい環境は魅力的です。
タブレットの導入など資金が回っているので、末端の薬剤師業務にお金をかけてもらえるのも魅力のひとつでしょうか。
大手調剤薬局で働くデメリット
大手調剤薬局の最大のデメリットとは想定通り残業多く帰りが遅い事です。例えば面接のときに「残業はほとんどないです」と言われても鵜呑みにしてはいけません。大手調剤薬局は常時人手不足なので面接のときも甘い言葉を並べてきます。
また、認定やかかりつけも山ほど在籍しているので、投薬加算もMAXとなり患者の数は当然うなぎ上りなのです。勉強会も休み返上というところが多く、プライベートも儘ならないのが現状でしょう。友達と約束があっても、金融機関に勤める友達よりも集合時間に遅れてしまうという惨劇なのです。
さらに、出世意欲がないならば大手調剤薬局では邪魔者扱いされてしまいます。
エリートコースを狙うギラギラした薬剤師の中で相手にしてもらえない辛い状況となってしまうのです。大学病院前の門前で使えないと分かると都落ちの地方店舗へまわされることもやぶさかではありません。さらには足の引っ張り合いや派閥争いが激しいのも大手調剤薬局の特徴と言えるでしょう。
個人経営の調剤薬局では薬剤師イコール経営者となることが非常に多いケースです。
経営学もマネジメントも学んでいない「ただの薬剤師」がトップに鎮座する、
そのなれの果てが経営破たん一直線と言っても過言ではありません。
自分の会社だからやりたい放題となり、就業規則は経営者薬剤師のトリセツ化しているのです。
特徴としては地域密着性が高く郊外に立地することが多いと言えるでしょう。
内科クリニックや耳鼻科皮膚科の門前に立地することが多く、処方せん枚数は月に100枚以下になるところもあり、一人薬剤師でまわす確率は非常に高いのです。
同族経営の調剤薬局で働くメリット
ほとんどが門前医院の開院時間に合わせて開局しているので休憩時間も当然長くなります。拘束時間は長くなりますが、昼間に自由な時間が取れるのは常勤にとってはとても有り難いことではないでしょうか。
個人医院の門前は疑義も取りやすくドクターとの関係性もあまり問われることはないのでとても過ごしやすい環境と言えるでしょう。
小規模展開の調剤薬局であるが故、人間関係も良好であることが多いと言われています。
経営者薬剤師なので、薬剤師にとって都合のよい就業規則になるのが鉄則なのです。
ちょっと裏話ですが、可愛がられると給料を上げてくれやすくなるのも特徴です。実力よりかは経営者やその親族に好かれるかどうか?が重要になるケースもあります。
同族経営の調剤薬局で働くデメリット
経営者薬剤師となる為その妻や子も同じ薬局で働くパターンとなります。
会社を私物化している中、経営など学んでいないのでモラハラやパワハラは日常的に起こる可能性が高いです。よって離職があとをたたないのが現状でしょうか。経営者に嫌われるとそこはもう地獄のようなモラハラワールドに浸かってしまうのです!
それと給与のアップなどの条件が決まっていないので、経営者に好かれれば給与が上がり、
好かれなければ上がらないなんてこともあり得ます。
実はブラック調剤薬局の多くが同族経営と言われています。(全てではありませんのでご注意を!)儲けしか考えていない調剤薬局に当たったら働くモチベーションを維持するのは大変です。
ブラック調剤薬局の特徴はコチラ >
調剤薬局に転職してくる人の中でも特に人気なのが小~中規模の薬局です。
(地域密着型や複数店舗を持っていない調剤薬局)
大手よりは忙しくなく、上層部からの縛りがきつくないので働きやすい職場に当たると他に転職しようなんて思わなくなります。ですから、家庭と両立したい人や育児や子育てと並行して無理なく働きたいという女性から特に支持を受けています。
小中規模の調剤薬局で働くメリット
全国展開していると売り上げを重視する薬局が多いが、希望が小さいと地元密着型で薬剤師に無理をさせない働き方をしているので結婚して家庭を両立させたい、子育てをしながら働きたいという方には向いている傾向にあります。
残業はそれほどありませんし、就業開始時間も病院などに合わせることが多いのでそこまで早くないでしょう。次のキャリアは無理なくゆっくり積み上げていきたいという方にはピッタリです!
小中規模の調剤薬局で働くデメリット
転職サイト側にもあまり情報が上がってこないので、働いてみないと分からないのが難しいところです。働く環境が合えばいいのですが、合わなかったら逃げ場がありません。
また大手と比べると設備やマニュアルが整っていないところも多く、
現場でやりながら覚えていかなければいけないので最初は大変でしょう。
本当に働きやすい職場はなかなか求人が出ないので、タイミングも運も必要かもしれませんね。
処方せんはあきらかに少ない枚数でまわしていることが顕著に見て取れるのが漢方を扱う調剤薬局です。そのため人件費はかけられないのでいつも少人数でまわしています。
漢方を取り扱う調剤薬局ではマーケット関係なく相談が主体となるため処方せんが少ないのが特徴です。来局する患者は不妊や難病に悩む人が多くOTCも怪しげなものが多いのです。投薬よりも相談業務が圧倒的な数だと言われています。
漢方専門の調剤薬局で働くメリット
心理的な相談業務が多いため投薬が少ないのでとても暇を持て余してしまうと言われています。
残業はほとんどなく、非常にのんびりしている環境だと言えるでしょう。
メーカーから漢方専門の勉強会へも招待されることが多く、漢方専門薬剤師の数も少ないのでとても重宝がられるでしょう。相談者が多いのでカウンセリングスキルは身に付くでしょう。
漢方専門の調剤薬局で働くデメリット
普通の調剤薬局へ転職となれば、当然スキル不足となることは覚悟しておきましょう。
漢方のスキルも他の調剤へ転職となれば邪魔とまで言われてしまいます。地味、暗い、怪しいなどネガティブな世間からの偏見も手伝いイメージはあまりよくはないのです。
メンタル的な相談件数が多いため、自身のメンタルもやられてしまうケースも多々あるようです。
学会学術総会への出席率が高ければ高いほど人材育成に力を入れていると言えますが、
トップの考え方によって全く違います。(大手の方が研修に力を入れている傾向)
専門薬剤師の育成には学術論文が必須となっていることは周知の通りです。
しかしながら、自力で学べと言う姿勢が多い調剤薬局の中でもきちんと薬剤師と向き合い、服薬コンプライアンス遵守すべき調剤薬局を選んだ方が、薬剤師1人1人のキャリアのことを考えている場合が多いのです。
薬剤師向けの教育研修はどこの調剤薬局でも実施していると思わないのが賢明です。
実際はやっていない調剤薬局のほうが多いのです。人手不足もありますが、人材と教育研修にお金をかけないという20年くらい前の激しく、時代遅れの経営方針だからでしょうか。
指導薬剤師が居ないのに「教育研修制度が整っている」などと、虚偽の説明をする経営者も多いので良く調べてみる事をオススメします。良心的な調剤薬局ではネットで研修制度を公開していることがあるので確認をしてみましょう!
いきなり取り扱ったことのない科目や投薬を言いつけられ、出来なかったら怒鳴られるなんて管理薬剤師も多いのが現状なのです。特に小中規模の調剤薬局にいく場合は、マニュアルはないモノと心構えを持っておいた方が良いでしょう。
医療業界でなくても当然のことながら
「業務マニュアル」は存在するものと認識しておきましょう。
マニュアル化することで同じ作業を繰り返すことでミスをなくすメリットがあります。
調剤ミスもマニュアル化したお陰でぐんと減ったと言う話も耳にします。
水剤や散剤の取り扱いや分包機の使い方までとてもきめ細やかなマニュアルがある調剤薬局だと部下の指導も行き届いていると言えるでしょう。麻薬管理マニュアルもずさんな調剤薬局だと10年前のものを平気で置いていることもあるので注意が必要です。
お店に行ってみないと分からないことのほうが多いです。もしかしたら調剤室に監視カメラが付いているかもしれません。(ブラック調剤薬局によくある話)その調剤薬局が良好な人間関係かどうかは自分の目で見て確認することをオススメします!
患者様用のトイレを見てみると、ちゃんとしたお掃除業者がはいっているかどうか見えてくるものがあります。
そこで不快や疑問に思うことがあれば環境が合っていないケースが多いです。
慢性的な人材不足の調剤薬局では求人がいつも出ています。
誰しもが行きたがらない求人だから出ているのです。しかしながら薬剤師の求人は日常的に当たり前のように出ているので、ここでは「医療事務求人」を探してみるのです。
医療事務はよほどのことがないかぎり辞めないと言われるほど人気の職種なのです。この医療事務求人がいつも出ているという事は何かしら問題がある調剤薬局だということなのです。
実はこれはかなり有効的な手段なのでできるなら必ずやってもらいたいことです。
転職エージェントの中には成績を上げるために良くない薬局でも
「めちゃくちゃいいところですよ~」と紹介する可能性がゼロではありません。
そのためにも他のエージェントに「○○薬局の評判ってどうですか~?」とさりげなく聞いてみてください。(選考中だとバレると本音が聞けなくなる可能性があるので注意!)
調剤室の人間関係までも紹介会社は分からないことも多々あります。
実際に働いてみないと分からない事のほうが多いことは確かですが、評判が悪い薬局なんかは必ず転職会社側も認識しているので聞いてみると知っていることは教えてくれるでしょう。
良い調剤薬局とは、薬剤師業務に専念でき患者様との信頼関係が良好であることが一般的だと言われています。それが、門前が扱う診療科目によったり薬局の規模だったりで、良し悪しが真二つに分かれてしまうのです。
要は自分自身のキャリア(働き方)にそれを当てはめてみれば、自ずと答えは見つかるものと考えています目指す方向性や薬剤師のキャリアを考えてからどういった調剤薬局に行きたいかを絞るのがポイントです。
一人で悩まずに迷った時にはキャリアアドバイザーに相談してみることをオススメします。
アドバイザーは薬剤師転職のプロですから、きっと転職が上手くいくようなサポートをしてくれるでしょう。
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